Aibou

相棒8 第5話「背信の徒花」

相棒の第4話は官製談合をテーマにしたものですが、それ以上に深い感じがしました。(以下若干のネタバレというかヒントがあり)

今の日本の風潮として、官僚を描く時、「官僚はどこまで行っても悪(または組織にがんじがらめ)、庶民(特に田舎者)は純朴で善」という紋切り型で描くことが多いですが、この作品では見事にその図式を転換していました。ここには漱石の『こころ』における先生の叫びが聞き取れます。

「田舎者はなぜ悪くないんですか」・・・「田舎者は都会のものより、かえって悪い位なものです」
「金さ君。金を見るとどんな君子でも、すぐ悪人になるのさ」

こうした人間の苦い面も描きつつ、最後の右京さんの言葉はさわやかでした。

「(植え替えた木の)花が咲く頃、見に行くかと思いまして」

ここには、右京さんの人間に対する信頼が読み取れます。官僚といえどもその前に人間、人間のこころに咲く一輪の花に訴えかけたようです。この時はまだ官僚の心の花も咲いていなかったのでしょう、にべもなく断られますが、いつかその花が咲いたとき、彼は花を見に行くのかもしれません。

次回はミリタリー・オタクの話。この人種が私はとても嫌いですが、ゲストを見ると森田直幸や阪本奨悟が。この二人『女王の教室』に出てましたよ。天海先生の厳しい教育で軍事オタクになった・・・なんて展開ではなさそうです。

さよなら、バードランド~相棒Season 8: Episode 2

今日の『相棒』はジャズがテーマでした。

例によってストーリーはネタバレするといけないので書きませんが、マイルスの "You're My Everything" が流れたり、"Woodyn' You" のセッション風景が映し出されたり、右京さんがジェリー・マリガンのピアノレス・カルテットに言及するなど、うれしいシーンがありました。

ここで聴かれた "You're My Everything" と "Woodyn' You" は、ハードバップの到達点とも言えるマイルスの『リラクシン』で聴くことができます。

このアルバムはジャズ史を上から読んでも下から読んでもちょうど真ん中に位置する名作で、一番最初に聴くアルバムとして必ずこれを薦めています。

ジェリー・マリガンのピアノレス・カルテットが聴けるアルバムはこれ。

ピアノレスというフォーマットもさることながら、バリトンをテナーのように軽々とメロディアスに吹くマリガンと、クールなチェット・ベイカーのペットが聴ける名盤。

今回のタイトル「さよなら、バードランド」のバードランドは、ドラマの中ではジャズ雑誌のことですが、実際はチャーリー・パーカーのニックネームにちなんで名づけられたニューヨークのジャズクラブ。そして『さよならバードランド』はベーシストのビル・クロウが書いた自伝のタイトルです。
この本、村上春樹が訳してます。

ベニー・グッドマンのあだ名が「バッドマン」だったり、スタン・ゲッツのとんでもない性格が赤裸々に語られていますが、センセーショナルな本ではなく、ミュージシャンの日常を淡々とした筆致で描いた名作です。

相棒season8

『相棒』のシーズン8が始まりました。

(C) tv asahi
(C) tv asahi

前シーズンまでの亀山薫(寺脇康之)に代わって、神戸尊(及川光博)が新相棒として登場しました(前シーンズの終わりに登場していたのですが)。

第1話はお披露目ということもあって、展開が速いわりにいまひとつ感情移入できませんでしたが、テーマ曲が新たにジャズ風にアレンジされていて実にいい 🙂 早速、テレ朝のページからプレゼントに応募してみました。

次回も大学のジャズ研仲間をめぐる事件が起こるようなので楽しみです。このドラマならではのこだわりをじっくり楽しみたいと思います。「アート・ブレイキーの吹くサックス」なんて表現が出てきたらすぐにチャンネルを変えますが 8)

鑑識・米沢守の事件簿

遅ればせながら、『鑑識・米沢守の事件簿』を見に行ってきました。八王子ニューシネマでリクエスト上映されていました。リクエスト上映とは何か、いまひとつ分からないのですが・・・

結論から言うといい映画でした!ストーリーの展開も自然で、各出演者の持ち味(特に主人公の六角さん)が十分に発揮されてます。私個人としては、緊迫した場面で間違って鳴る米沢さんの着信音が志ん生の出囃子でそのたびに緊張感を解かれ(いわゆるコミックリリーフ)爆笑していました。惜しむらくは、米沢さんの相棒役の相原さん(萩原聖人)の演技に力が入りすぎで、他の人たちから浮いていた点でしょうか。一所懸命だったので逆に残念でした。エンディングのスクロール横で流れる10画面分割も味わい深く、低予算ながらよく練りこまれた映画だと思いました。

ただ、『相棒』とは対照的に一番小さな部屋で上映されていて、なんとなく試写会の雰囲気。お客も私たちを含めて6人で、途中からオジサンが入ってきて計7人で鑑賞していました。下は配られたおまけのカード(笑

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映画後は、大体呑みに行くと相場が決まっていて、今回も繰り出しました。連休中に行ったけれど、その時点ですでにベロベロで、いまいち料理を味わえなかった沖縄料理の店「ニライカナイ」へ行き、オリオンビールに泡盛で、ゴーヤチャンプルやラフテー、ミミガーに謎のタイ料理まで堪能しました。

相棒~劇場版

劇場版『相棒』を見に行ってきました。

5時半からの上映で思ったよりも人が入っていて、入れ替え制のため階段に列になって並ばされました。スクリーンもそのシアターで一番大きなものだったらしく、その館でメインの出し物ということが窺われます。

映画の内容自体についてはネタバレになるし、詳しくは言いませんが、日本人の心に巣食う無責任や匿名の悪意、右へ倣えという習性に対する鋭い告発を含む内容でした。

ということで映画は楽しかったものの、その後愚かなバカップルに絡まれ、大変でした。どうも、その愚かなカップルは私と友人との話題が「自分達に対する当てこすり」と誤解したらしく、因縁はつけてくるは殴りかかってくるわの大騒ぎ。

いかにも頭の悪そうなカップルの仕業なんですが、彼らが特にヤンキーというわけでもなく、唐突に因縁をつけられて驚きました。警察も呼んで話をつけたくだりが、私とドラマーさんとの思い出を髣髴とさせ、「戦友」というのはこうして造られていくんだなと実感しました。

どちらも私の責任なところも似ています。

だたし、今回なぜそのバカップルが私たちに因縁をつけてきたかに関しては、永遠の謎なんですけれどね、 🙂

「つきのない女」

結局『相棒』は2話連続だったようで、先週のエピソードが今日の昼間に再放送され、夜は続編が放送されたのですっきりと観られました。「今日は昼夜どんな用事も入れず家にいよう」と固く心に誓っていましたが、とくに用事が入ることもなく雪の天候だったので家でじっと相棒を観たわけです。

やはり昼の再放送を観た時に、池田政典のような俳優がその他大勢の警官になっているわけはないと見込んでいましたがその通りの展開。

また、よかった点として「青梅女子刑務所」から逃走する道すがら出てきた八王子の地名が正確だったこと。「戸吹の脇道」とか「滝山街道から甲州街道を避けて」などと、しっかりした土地の描写がなされていたことです。以前に観た2時間サスペンスに、「西八王子市の遺跡発掘現場」なんていうのがあって、何じゃそりゃと思いましたから。

鈴木杏樹はきれいですね。この源流ともいうべきシーズン4の「つきのない女」は倒叙で、かなり最初の頃から空港行きバス内での右京と幸子(杏樹)との心理戦があるわけですが、延々アップが続くわけです。きれいじゃない女優だと見る側は辛いところですが、彼女は観ていて全く不快感がない。美人というだけでなく、なんかきっぱりさっぱりしたところがあるからかもしれません。今回も、敵の鉄砲を奪ってからの展開で杏樹はかっこよかった。このキャスティングの妙が一連のドラマを可能にしたように思います。

「相棒」を落とした理由

あけましておめでとうございます。今年に入って最初の書き込みです(お正月モードの書き込みはタイマーのなせる業です)。その後ずっと書いていなかった理由はビデオの「美味しんぼ」を見ていたからです。これについてはいずれ書きます。

さて今期に入って初めて相棒を見落としました。

理由は簡単で親しい先生達との新年会の日程が今日だったからです。会場は去年と同じく「蔵っしい」。今回は蟹すきコースを注文してみました。

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最初に出てきたのは牡蠣です、チュルンと飲んで終わります。その後お造りやら何やらが来て最後は蟹しゃぶ。。

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9時に終わる予定で組んでいましたが、結局うちに着いたのは10時過ぎ、月本幸子さんのその後は観られずじまいでした。だれか、ネタバレでもいいから教えて。

左文字と右京

先日水谷豊主演の『探偵左文字進』を観ましたが、凝った作りでした。倒叙なのでネタバレになりませんが、最初のところでグレン・ミラーのEP盤やジャズ・メッセンジャーズのBN盤が映ったり、国分佐智子が左文字のところに相談に来た時バックで流れているのがサッチモの『バラ色の人生』だったりとこだわりが感じられました。

死に際にはグレン・ミラーの『ムーンライトセレナーデ』を聴きたいといっていた作曲家の言葉を利用してトリックを思いつく犯人、ところがレコードを針で傷つけてしまい、実際にかけると針が飛んで同じところを繰り返すので「こんなレコードを死に際に聴くかな?」と左文字が疑問に思う、という展開です。私は、EP盤のジャケットがジェイムス・スチュアート、つまり『グレン・ミラー物語』の主演俳優だったので、「ひょっとすると、サントラなのでミラー本人の演奏ではないことから疑問が湧くのかな」と憶測していましたが、さすがにそこまでオタッキーには作っていませんでした 😛

しかし、出演者が『相棒』とかぶるかぶる。アシスタントの戸田恵子は『相棒』では亀山薫の姉だし、犯人の石橋凌は裁判長でした。犯人の秘書をやっていたのが山中崇史、芹沢君です。

その『相棒』ですが、こちらも今回は倒叙っぽい作り。しかし江藤潤は一回死んでますね。あの時は×殺。 さて今回は?荻野目さんも以前に漫画家役で出たような気がしていましたが、それはイノッチ主演の『9係』でした。

次回は大河内浩が出るようです。またも『12人の優しい日本人』メンバーの一人ですね。悪役や癖のある役が専門の名バイプレイヤー。公式のあらすじを読むかぎり、本格推理のようで楽しみです。

『相棒』と地方公務員法

今日から『相棒』シーズン6が始まりますが、それに先立ってシーズン5の最終話「サザンカの咲く頃」が再放送されていました。

2時間スペシャル。

ネタバレになるので詳しいことは書きませんが、目的と手段を勘違いしがちな人間に対する鋭い告発を含む右京の激昂は見ごたえがありました。しかし、犯人逮捕となってまだ1時間30分、まだ解決じゃないのかと思うと、いつもは何かとサポートしてくれる小野田官房室長が今回は敵に回る。もう駄目か、いっそクビ覚悟でと亀山が悲壮な決意を固めると「じゃあ、君だけ辞めてください」という右京・・・

地方公務員法の49条と50条を盾に取る作戦だったと、後で分かります。

(不服申立て)第49条の2 前条第1項に規定する処分を受けた職員は、人事委員会又は公平委員会に対してのみ行政不服審査法による不服申立て(審査請求又は異議申立て)をすることができる。

第50条 第49条の2第1項に規定する不服申立てを受理したときは、人事委員会又は公平委員会は、直ちにその事実を審査しなければならない。この場合において、処分を受けた職員から請求があつたときは、口頭審理を行わなければならない。口頭審理は、その職員から請求があつたときは、公開して行わなければならない。

それにしても凄い発想ですね。ペリー・メイスンが『氷の手』で検察側の持ち出した免責特権(インミュニティー)を逆手に取ったときと同じような奇策です。これだから『相棒』は止められない。

partenaire と pasmo

『相棒』の再放送。エピソードは「殺人ワインセラー」でした。
ここで出てくる、大銘醸ワイン「シャトー・マルゴー」もしのぐといわれているボルドー右岸の「バルトネール」ですが、実在しません。パルトネール=パートナー、つまり「相棒」のことなんですよ。しかし扱われていた「ペトリュス」や「ロマネ・コンティ」など実在するワインは本物を使ったのでしょうか。この話の教えは、「傷つけた側は覚えていなくても、傷つけられた側は一生忘れない」というものでしょうが、そんな教えを忘れるほど絢爛たるワインの数々でした。

さて西東京バスがパスモに対応したので、私も購入しにでかけました。

pasmo

バスの場合、従来のバスカードと同じようにいくらか得をするポイントサービスがあるようなので買ったわけです。駅に行くと、幟旗を立てて賑々しく申し込みを行っているので行ってみると、クレジット・カードと連動して自動チャージをしてくれるカードを扱っていて、現金チャージは自動キップ機で買えるそうです。自動チャージでもいいのですが、まだ不安なので現金式にしました。使い方も不安なので、駅から100円区間を試し乗りして、実際に使えるかテストしてみることに。nanacoカードと同じパスケースに入れているのに、きちんと読めたので驚きました。セブンでnanacoを使ったら、間違えて引かれていることもなくてさらに驚きました 🙂