ロリンズを聴きに日比谷まで行ってきた。
会場は東京国際フォーラム。親友が誘ってくれたのだが、最初「え?ロリンズ???」という思いだった。一応ジャズアンテナはビンビンに立てているので亡くなったとは思っていなかったが、何年か前に「これが最後の日本公演」といわれていた記憶があるからだ。
なにせ高齢である。
いくつかと言うと、御年80歳。今回の日本公演も「ソニー・ロリンズ80歳記念日本公演」と冠されているのだ。男性で、しかも管楽器で80となるとすごいことである。音が出るだけでも御の字である。パーカーの35歳は夭折に過ぎるにしても、偉大なるサッチモが70歳、デクやゲッツも60代で亡くなっている。仮に生きていたとしても吹けていたか疑問でもある。だから「聴きに」行くというより「見る」ぐらいな感覚で行くことにした。
登場した時、やはり「見に来たんだ」と思った。志村けん演じる老婆みたいに腰が90度に曲がってサックスのほうが鋭角的に腰の上に来ているようなおじいさんがよたよたと歩いてきたからだ。客席に一礼して始めたのは”Nice Lady"。ここしばらくずっとこれがテーマ曲のようだが、こっちの腰が抜けた!音が若いのである。いや力強いのである。サキコロの音は「作られた音」であることがしばらく前にばれているのだが、「ジャズに恋して」とか「ロードショー」と同じサウンドが会場の隅々にまで浸潤してくる。至福のときである。涙すら沸いてくる。そうして見ているとロリンズの腰もゆっくりと伸びて「かくしゃく」としてくる。不思議なほどだ。
この歳なので、さすがに3コーラスとかのアドリブはとらず基本的にリズム隊とフォーバースで進めて行くのだがそれでも深いサウンドと、時にアウトすらするパワーでバラードの"In a Sentimental Mood"までの前半を終えた。
後半は"If I Should Ever Leave You"から始まり、ラストの、そして再びの "Nice Lady" まですばらしい演奏だったが、どうも前のほうに本当の "素敵な女性"がいるのか、そっちに向けてばかり演奏していた気がしないでもない :) それでも元気なことはいいことだ 😛
アンコールは、ツボを押さえて "St. Thomas"!会場全体がどよめく。
見るつもりで出かけて、聴いて帰ってきたすばらしいコンサートであった。
90歳記念公演も50代の私で聴きに行くつもりである。
途中休憩でオモシロハプニングがあったが、それについてはまた今度。