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なめらか戦争

久しぶりに文房具ネタを一つ。

最近、ボールペン業界では「なめらか戦争」というのが起こりつつあるようだ。

きっかけはPentelの「ENERGEL EURO(エナージェル・ユーロ)」であろう。

実に書き味のよいゲルペンである。私もちょっとした書類に記入する時はこれを使用している。また太字の赤を使って採点をするととても楽。スムーズに丸だのバツだの三角だのを付けられるのだ。しかしこれはジェルペンのこととて、キャップのないノック式だとペン先が乾くのかこの方式のものは出ていない。

そこへ、従来の油性とジェルペンのなめらかさを融合したといううたい文句で殴りこんできたのが、ZEBRAの「Surari(スラリ)」。ZEBRAはサラサ(ゲルペン)のようにオノマトペ(擬音・擬態語)のネーミングが得意なのだろう。エマルジョンインクというインクを開発したそうで、要はマヨネーズのように酢と油、いや水性と油性を乳化させたインクが「油性のしっかりした手応えと、水性(ジェル)のなめらかさを両立させ」ているそうだ。なめらか指数というよく分からない指数でもNo.1 ということで大々的な広告と店頭の煽りを展開している。

しかしながら、このペンの本当の価値は「キャップ式ではない」ことじゃないだろうか?日常の場面でさっと使う時にキャップ式ではいかにもまどろっこしいのでやはりノック式がよい。キャップレスでもペン先の乾かない、あるいは乾きづらいなめらかインクというのがこの商品のコンセプトなのではないかと思う。

そこで再びPentelが巻き返しに打ち出した商品が、同じノック式の「VICUNA(ヴィクーニャ)」。こちらは油性インクの粘度を下げた純然たる油性ボールペン。やはり「世界一のなめらかさ」という、小学生の「100万円」ぐらい曖昧で漠然とした指標でなめらかさを強調している 8)

両方の青インクを使った感想だが、うーむ、分からない 😉 どちらも同じように書き味が柔らかで、もはや人間が感知できる差異ではなくなっているような気がする。ただ若干Sarariのほうが水っぽい感じでVICUNAのほうに粘りを感じるのは先入観だろうか。今のところ三菱鉛筆とパイロットは「消せる消せない戦争」を繰り広げていて「なめらか戦争」には入っていない。しかし日本人の習性としてある方向に走り出すと、文房具で言えば極細競争、オーディオ界のミニコンポ戦争などのように、歯止めが利かなくなる傾向がある。なめらか戦争もあまり過熱すると、そのうちなめらか過ぎてダダ漏れのインクなんてのが登場するのではないだろうか? 😛

ところでインク色だが水性やゲルペンのように派手な違いはなく、どちらも落ち着いて少し紫の色味を含むボールペンの青である。結局私の好きな青はパーカーペンマンの「サファイア」系統の純青なので、EUROを使い続けることになると思う。黒・青・赤を出しておけばよかんべイズムはよして、もうすこし青の色味などにこだわってもいいのではないか。見ている人は見ているものだから。

追記(6/6) 先日文房具屋に行ったところ、ENERGEL EUROのノック式が売られていた。そうなると、Pentelのこの2本はジェル式と油性の違いをコンセプトにしたと言えるのかもしれない。

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