明るい表通りで

巷では "On the Sunny Side of the Street" (「明るい表通りで」)が流行しているのか、ここのところよく耳にします。ちょっと前に小野リサがCMで歌っていたかと思えば、最近では「クリア・アサヒ」という、たぶん私とはこれからも決して交わりあうことのない発泡酒というジャンルの飲物のCMに使われている。ダウンタウンの浜ちゃんがビーチバレーの浅尾美和嬢と組んだCM。この人綺麗だし、浅いと深いで浅からぬ因縁を感じて見ていたけれど、やっぱり「サニーサイド」がかかるとそっちに耳が行きます。

この歌は1930年、作曲 Jimmy McHugh 、作詞 Dorothy Fields によって生み出された名曲で、たちまちジャズのスタンダードとなりました。この歌は直接的ではありませんが当時の世相(世界恐慌)を反映したもので、特に後半のAメロの歌詞「一文無しでも、ロックフェラーのように大金持ち。明るい表通り(通りの日の当たるところ)なら足元に砂金があるのだから)という部分は、暗い世相でも明るく生きようとする息吹に満ちています。最近暗いニュースが相次いで世相も暗くなっているので、こういう歌が好まれるのかもしれません。

Grab your coat and snatch your hat,
Leave your worries on the doorstep.
Just direct your feet
To the sunny side of the street.

Can't you hear that pitter pat
And that happy tune is your step.
Life can be so sweet
On the sunny side of the street.

I used to walk in the shade
With the blues on parade.
But now Im not afraid
This rover's crossed over

If I never had a cent
I'll be rich as Rockfeller.
The gold dust at my feet
On the sunny side of the street.

この歌の決定的解釈は、おそらくサッチモのヴァージョンでしょう。能天気な歌ではなくペーソスが込められた味わい深い演奏です。いくつかの時代にわたって録音されていますが、私がよく聴くのはこの演奏。

そしてもっとも好きな演奏はレスター・ヤングのもので、かなり衰えた時期のモノながら、全盛時代以上の深いニュアンスで演奏しています。

モダン・ジャズになると、この曲を取り上げる機会は減りますが、おそらく決定版といえばディジー・ガレスピー、ソニー・ロリンズ、ソニー・スティットによるこのアルバムでしょう。

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