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ハービーさんの The Riverがグラミー賞最優秀アルバム賞に

素晴らしいニュースが飛び込んできました。

ジャズ・アーティストが65年のスタン・ゲッツ以来となる快挙

 第50回グラミー賞の授賞式が現地10日、日本時間の11日13時に、終了した。

 毎年、多くのドラマが生まれるが、今年は特にアニバーサリーイヤー。開催前にはウィル・アイ・アム(ブラック・アイド・ピーズ)のパフォーマンス時、つまり年間最優秀アルバムの発表前に、マイケル・ジャクソンが登場するのではないかとささやかれたが、残念ながら、それは叶わなかった。

 とはいえ、今回のグラミー賞、一番の驚きはその年間最優秀アルバムだろう。

 ノミネートは今回最優秀ロック・アルバムを受賞したフー・ファイターズ『エコーズ、サイレンス、ペイシェンス・アンド・グレイス』、最優秀カントリー・アルバムを受賞したビンス・ギル『These Days』、最優秀ラップ・アルバムとなったカニエ・ウェスト『グラデュエーション』(収録曲「ストロンガー」では最優秀ラップ・ソロ・パフォーマンスも)、主要4部門のうち3部門を受賞したエイミー・ワインハウスの『バック・トゥ・ブラック』、そして、御年67歳になろうというジャズ・ピアニスト、ハービー・ハンコックの『River: The Joni Letters(リヴァー?ジョニ・ミッチェルへのオマージュ)』。

 このハービー・ハンコックの『River: The Joni Letters』が、大方の予想に反して、最優秀アルバムを獲得したのだ。

『River: The Joni Letters』は、そもそも彼が敬愛する音楽仲間であるシンガーソングライターのジョニ・ミッチェルに捧げたもの。ノラ・ジョーンズ、コリーヌ・ベイリー・レイら若手から、ティナ・ターナー、レナード・コーエンといったベテラン、さらに、ジョニ・ミッチェル本人の参加を得て作り上げたアルバムだ。

 ベテランのこうしたコラボ作品というと、ロック界ではサンタナの『スーパーナチュラル』が記憶に新しい(第42回)。

 しかし、ハービー・ハンコックの場合、ジャズ・アーチストであるということも特筆すべきこと。必ずしもヒットチャートを争うジャンルではない。そう、ジャズ・アーチストとしては非常に珍しく、65年のスタン・ゲッツ以来となる、アルバム賞受賞なのだ。

 カニエ・ウェストは呆然としているだろうか? それとも、リベンジを心に誓っただろうか?

 さまざまな思惑をつい考えてしまいがちだが、ハービー・ハンコックの受賞に関しては、番組終盤に、現地で最優秀ニュー・エイジ・アルバム部門にノミネートされた喜多郎氏が登場し、告げたコメントが多くを 表しているようにも思える。

 ラップやヒップホップ(あるいはロックやR&Bなども含めて)など、流行している音楽ももちろん大切だけれども、「もっと生の、ちょっと昔に返ってみるのもいいんじゃないかというメッセージもこめられているのでは」。

 デジタル化がますます進む昨今、ダウンロードミュージックでしか音楽に親しまない世代が、音楽ファンの中で層を厚くしてきている。しかし生でしか奏でられないものがある。生でしか感じられないものがある。

 ジャズは圧倒的に即興性が強い。今回の授賞式でも、ハービー・ハンコックは若手ピアニストのラン・ランとともに、ジョージ・ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」を演奏した。まさに生を感じさせる演奏。その功績に対しての、受賞でもあるのかもしれない。 (日経トレンディネット

この記者も書いている通り、ダウンロード音源?ポータブル再生機という現在の音楽状況では、"いまここで"という感覚(現前性、ライブ性)や音の物質性がどんどんと衰退していくのではないかという危惧があります。常に再現的な音楽は安定感はあるけれどスリル感がなく、再生音は簡便ではあるけれど感動とは程遠いものが多いからです。私達が再生音を聴いて感動できるのは、実は以前に聴いた生音を脳内で再構築しているからであり、ずっと再生音だけに浸ってきた人は、これができないという話を聴いたことがあります。ジャズというのはアドリブを媒介として、この現前性・ライブ性を確保すると共に、その高度な技術からライブ・パフォーマンスでも鑑賞に堪えうるという特質があるわけです。

ジャズとしては43年ぶりというのは驚きですが、実は「最優秀アルバム賞」のことで、それ以外の賞はこれまでハービーさんも受賞しているようです。
'65年のゲッツというのは『ゲッツ/ジルベルト』という不滅のボサノバアルバムです。

どちらも以前に記事で紹介していましたので、よかったらご覧下さい。

Herbie Hancock: The River - The joni Letters
Stan Getz: Getz / Gilberto

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