原稿用紙

juggler555jpさんのブログでも紹介されている満寿屋の原稿用紙を私も使っています。とはいえ、いまどき原稿用紙で書いたものを提出しろなんて言って来る所もないので、主に手紙の便箋代わりにしたり、ブレインストーミングに使っています。
作家の自筆原稿を見るのも好きで先日は吉川英治記念館に行った折、彼の自筆原稿を見る事が出来ましたが、きれいでしたね。私も字は下手なほうではないのですが(デジカメがなくアップロードできないのをいい事に放言していますが・・・)原稿用紙200字、あるいは400字を埋め終わった後でみると、ものすごくバランスが悪い。一文字一文字は私のほうが丁寧に書いているはずなのに、遠目で見ると変なデザインに見える。それに比べて作家さんの自筆原稿は一文字一文字は殴り書きに近いようなのもあるのに、遠目で見るとバランスがとれている。原稿用紙慣れしているというか、万年筆慣れしているんでしょう。自筆原稿を特集した作家と万年筆のページなど見てもその感を強くします。

それで思い出した事ですが、以前『ジャズライフ』で佐藤允彦が次のようなことを書いていました。
「(オーケストラの細かいスコアを書いていて)音の厚いところは当然音符が多くなる。たとえば主旋律、対旋律、ベースラインという三つの動きを全段に書きこんだところを少し遠くから眺めると、三種類の線がないまぜになったタペストリーのようである。『お、なかなか美しいではないか。ちょっと右上のほうが薄いかな。なにか一筆加えたほうが良いかな』と思わず画家の目になっていたりする・・・オーケストレーションという作業は、大きな画布を細い筆で埋めて行く日本画とか、九谷焼や友禅の細密な絵付け、彫金などに似ているのではないだろうか、とさえ思うのだ。」

ひょっとすると作家たちも、同時に造形芸術家の目を持って原稿を書いて(描いて)いるのかもしれないと思ったりします。

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