相棒の第4話は官製談合をテーマにしたものですが、それ以上に深い感じがしました。(以下若干のネタバレというかヒントがあり)
今の日本の風潮として、官僚を描く時、「官僚はどこまで行っても悪(または組織にがんじがらめ)、庶民(特に田舎者)は純朴で善」という紋切り型で描くことが多いですが、この作品では見事にその図式を転換していました。ここには漱石の『こころ』における先生の叫びが聞き取れます。
「田舎者はなぜ悪くないんですか」・・・「田舎者は都会のものより、かえって悪い位なものです」
「金さ君。金を見るとどんな君子でも、すぐ悪人になるのさ」
こうした人間の苦い面も描きつつ、最後の右京さんの言葉はさわやかでした。
「(植え替えた木の)花が咲く頃、見に行くかと思いまして」
ここには、右京さんの人間に対する信頼が読み取れます。官僚といえどもその前に人間、人間のこころに咲く一輪の花に訴えかけたようです。この時はまだ官僚の心の花も咲いていなかったのでしょう、にべもなく断られますが、いつかその花が咲いたとき、彼は花を見に行くのかもしれません。
次回はミリタリー・オタクの話。この人種が私はとても嫌いですが、ゲストを見ると森田直幸や阪本奨悟が。この二人『女王の教室』に出てましたよ。天海先生の厳しい教育で軍事オタクになった・・・なんて展開ではなさそうです。