近畿大学国際人文科学研究所のサブテクストであるこの『必読書150』には、「これを読まなければサルである」という挑発的な帯がつけられています。新入学生にせよ進級した学生にせよ、4月?5月は気持ちも改まるせいか「どんな本を読んだらいいでしょうか?」という質問をよく受けます。そういう場合、いちいちの書名を挙げてもいいけれど、むしろこうした必読書集を読んでもらったほうが効率がいいので、私はこの本を挙げる事にしています。このサブタイトルについて柄谷は冒頭の座談会「反時代的『教養』宣言」でこう言っています。
80年代以降、カバにもわかる何とか、サルにもわかる何とかという題の本が増えた。アメリカでも同じで、もっと露骨に、idiotsのための何とかという本があるけれどね。しかし、われわれは、サルにも分かる本を書こうというのではない。これを読まない奴はサルだというだけです。
この本に列挙された150冊はいわば知識の基準点です、あるいはメートル原器みたいなものです。本の場合はそれを「カノン(正典)」と呼ぶわけです。サルではないわれわれはこれらの本のうち1冊でも2冊でも読んだほうがいいでしょう。次回以降、ここに取り上げられている本、そうでない本を織り交ぜてこのページで語って行きたいと思います。